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2022年度 銅蛇美術工芸高校 合格作品(色彩)と入試内容の考察

 今年も美術系高校入試が無事に終了いたしました。コロナの影響も拡大する中での気の抜けない年末年始でしたが、高校入試は銅蛇美術工芸高校4名、精華学園高校5名、京都芸術高校2名という結果でした。進路に迷った生徒も多い年だったように感じています。


さて銅蛇美術工芸高校について、考察していきます。試験の色彩テーマは「冒険」、モチーフとして「紙袋」が配布されています。テーマをどのように伝えるか、モチーフの形状を絵の中で生かすアイデアなどがポイントとなります。

モチーフの紙袋は四角形のシンプルな形をしていますが、口を開くとユニークなシルエットが見つかります。また口に付いている「ひも」からもさまざまなイメージにつなげることができますね。形の面白さに注目できるとイメージが広がりますから、まずはモチーフを手に取って観察することは重要です。

一方でテーマの「冒険」は具体的にもので説明する場合、モチーフと関連性がないためやや難しく感じるかもしれません。冒険を動き(前に進む、飛び出す、突き破る)にたとえれば自由に描くものを選択できます。動きの表現パターンを研究しておくことは大事です。



色彩の課題は時間との勝負。上の合格者作品は描く力も構成もアイデアもハイレベルで言うことがありません。時間内にここまで仕上げることができるのは、普段から手を動かしている証拠ですね。上から吊り下げられている紙袋を植物のツタとして見立てる、また紙袋に合わせてクレヨンで描かれた城(遺跡?)が中央に配置されて冒険感を強調しています。旗は目的地を表すシンボルになっています。



続けてこちらの作品も合格再現作品です。やや色味がきつく単調なところもありますが、構図の面白さや世界観を作り上げている点が素晴らしい。短時間にこれだけの構成をまとめるのはかなり難しいことです。やはり自分の強みを出し切った作品と言えます。絵の具や筆の知識がもっと加わればより仕上がりを良くできるはず。高校でも楽しみながら絵の勉強を続けてほしいと思います。



最後に、こちらの作品も自分の世界観をしっかり表現できている色彩です。モチーフの生かし方としてはやや物足りない部分もありますが、描かれている生物の魅力と描き重ねて伝わる迫力に圧倒されます!紙袋が波の飛沫で見にくいところを解決できると、さらに見やすくなったと思います。


以上、今年の合格者作品の紹介と考察でした。





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